IMFとの交渉現状(2023年2月10日現在)

2023年2月10日現在、パキスタンを訪れているIMF交渉団とパキスタンの間で為されている、IMFからの総額63億米ドルの融資再開(今回は第9次中間レビューで、11億米ドルが対象)に関する事務レベル交渉は、交渉期限内に合意に至っていない。合意に至っていない理由は明白で、IMFが融資再開の条件として提示している、国内燃料料金補助金削減・撤廃等を含めた緊縮財政を口約束でなく、ちゃんと実施することである。緊縮財政は国民に応分の負担を強いることとなり、政府の人気は間違いなく落ちる。過去において、パキスタンのいずれの政権も押し並べて嫌気していたことである。IMFから見ると、パキスタンは従来の合意事項を、諸々の国内事情を並べ立てて、約束を実行できていなかったと断じている。従来は、中国や、サウジアラビアを含めた中近東諸国からの側面金融支援で繋ぎつつ、また、エネルギー国際市況に神風が吹いて燃料輸入価格が下がることなどもあり、なんとか生きながらえてきているが、いまは中国・中近東からの追加融資や延長も、IMFとの合意が為されてから、といった様相になっているし、燃料輸入価格も高止まりとなっている状況。外貨準備高も29億米ドルと2014年2月以来の低レベルとなっており、パキスタンの輸入代金支払い2週間分程度にまで落ち込んでいる今となっては、IMFとの交渉妥結は待ったなしな様相となっている。
一方で、IMFにしてもパキスタンを破綻させることは避けたいところ。IMFにとってあまり信頼のおけない現財務大臣(理由は書かない)との交渉だけでなく、IMF交渉団長は、本来は予定に入っていないかったシャハバーズ・シャリフ首相との会談も行った、と報じられている。財務大臣の口約束では納得いかず、首相からの確約、言質を得ることが目的であること。容易に想像できる。

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