【寄稿】2023年 イスラエル・パレスチナ情勢に関して

(英国王立国際問題研究所「チャタムハウス」、もと客員フェローの玉木直季さんからの書き下ろし投稿です。一言一句、編集なしに掲載させていただきます。)

第5次中東戦争??本件につき、見立てを聴いて下さる方が少なからずいらっしゃるので、私の見解を簡単にお伝えしておきたい。

批判を恐れずに発言すると、域内の安定に向けて必要となるイベントのように感じている。多くの人が死んでいるのに無責任な発言と聞こえるかも知れないが、時代が大きく動く際、どうしても血は流れる。私は、そうした歴史的事実に向き合った上で、根底に流れる本当の動きを感じ取ろうとしている。

私の中東ウォッチャーとしての投稿をお読みいただいてきた読者にはくどい説明となるが、中東の重しであり、後ろ盾であった米国の姿はすでにそこにない(駐留米軍がゼロになった訳ではないが)。ざっくり、ペルシャ(=イラン)、アラブ、イスラエル、この3勢力がうごめく中東地域は「地域のことは地域で」の動きが台頭し、ISが掃討され、シリア内戦が決着し、カタール問題が片付き、サウジとトルコが接近し、イスラエルと湾岸が国交を樹立し、アフガンが安定に向かい、サウジとイランが対話を行っている。私の論調は不変、中東の安定に向けて動き出したこの「うねり」は決して止まることはない。

しかし乍ら、どうしてもパレスチナ問題が横たわる。しかしパレスチナにしても、イスラエルを今さら地図上から消すことができないのは、十分理解しているし、その前提で人々の生活が成り立っているのは、エルサレムを訪れた人は誰しもが感じることだろう(ただ、アラブ諸国で売られている地図にイスラエルは無い、もしくは、修正液で国名と国旗が消されているのだが、、、)。

正直、エジプトがイスラエルへの奇襲攻撃によってシナイ半島を奪還した第4次中東戦争に近い感覚。イスラエルとしては、第3次中東戦争で奪った(が不要な)シナイ半島を返すきっかけとなり、アラブ・スンニ最大のエジプトとの和平が成立した。ハマスの矛先はイスラエルに向かったが、パレスチナの犠牲を伴う、中東の安定に向けた湾岸諸国やイランに対する不満も大きかった筈だ。それが、どこかで爆発するのは、やむを得なかったのだろう。私でもできるくらいの分析だから、イスラエルは当然想定していた筈だが攻撃を許した。今回の混乱の後に歩むロードマップは、既に域内リーダーたちの頭の中には描かれているように感じている。

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